猫のこと

愛猫が死んで、もう半年以上経っていて、それでもわたしは「死んで、いなくなってしまう、もう会えない」ことが、理解できないというか、「そういうもの」として整理ができない。
毎日、思い出すし、毎日、会いたいし、触れたい、だっこしたい。
だっこしたときの、ふにゅっとした感触とか、抱かれている猫の「ふんぐっ」と思わず漏れてしまうマヌケな声とか、忘れたくなくて、とにかく、会いたくて、でも、もう、いなくて、もう会えなくて、さみしくて、悲しい。



祖父母が他界したときの悲しみとは、まったくちがう。
本当に、心にぽかんと穴が空いているみたいで。



自分が死んだとき、その先で、また会いたい人に会える、って信じてきたけれど、猫についてはそう思えない。
猫は、なんだかとっても、天使みたいな子で、不思議な存在だったから、みんなの行く「天国」とは、またちがうところへ行ってしまったような気がして、わたしはきっと、死んでも、そこには行けない気がして、だから、もう会えないんだけど、なんだかよくわからないけれど、そっちで、猫は、楽しく、幸福にしているよって、言い聞かせて、いろいろごまかしている。



埋まらない穴が、ポコポコ、自分の中にはあって、適当なものを押し込んでは、ちがうなあ、と虚しくなって。
何が正しいのかもわからないまま、何もしっくり来ないまま、きっと人生は終わる。



すぐ、めそめそしてしまって、立ち止まってしまうな。
夢でもいいよ、会いたいな。
会ったら、なんて言おうかな。
「もうどこにも行かないで」
って言っちゃうかも、でも、それは無理だよって言われそう。



どこか知らないふわふわしていて居心地の良いところで、美味しいものたくさん食べて、やさしいなにかにだっこされているといいな。