母との距離感

25歳ごろ実家を出て一人暮らしを1年したあと、今の夫と二人で暮らすようになり、結婚前くらいに実家の近くの家へ引っ越した。
それから、しばらく距離を置いていた母と、またちょくちょく会うようになり、とっても楽しかったり、とっても安心したり、急に調子が悪くなったり、とても苦しい気持ちになったり、を繰り返している。


母は、優しくなった。
とても優しい。おもしろそうな美術展、映画、観劇、いろいろと誘ってくれる。美味しいごはんをごちそうしてくれる。アクセサリー、お洋服、小物、たくさん、買い与えてくれる。
わたしはうれしくて、こんなに可愛がられていて、幸せ、
のはずなのに、どうして、母としばらくいっしょにいると、調子が悪くなるのだろう?
と、かなり前から、疑問だった。


付き合いたての頃から、夫に
「おまえと、おまえのお母さんの関係は、異常」
そう言われていた。
精神科にかかるようになり、主治医にも「お母さんとの距離感を、気をつけたほうがいいかもしれない」そう言われたのもあって、わたしは実家を出たのだけど・・・
近くに住むようになり、やっぱりまたおかしくなってきてしまった。


母と話していると、誰よりも、気持ちをわかってくれるような気がしてしまう。こんなことがあった、こんなことを感じた、そしてこんなことを思ったんだよ、そういう話を、いつもいつも、母にしたくなってしまう。


だけどわたしは、ちっとも「のびのびと、自由」ではいられない。
心から「安心」はしていない。
なんだかいつも、母の顔色を覗っている。
母は、なんというか、我が強い。物言いがきつい。
「お母さんは、そういうの嫌い」
そういうことを、バシッと言い切ってしまうところがある。
わたしは、母に拒絶されてしまうことがとてもこわくて、母の気に触らないように、母が同意してくれるような物言いで、いつも話をしている気がする。


そのうちまた細かく書くかもしれないけれど、母は、自身の実の親、家族に対して長年思い悩んでいて・・・
「実の母(わたしにとっては祖母)に、母親らしいことをしてもらったことがない」と、よく話している。
だから自分も、子供をふたり(兄とわたし)産んで育ててきたけれど、「母親」として、うまく役割を出来ている気がしない、と。
「ごめんね」と、よく言っている。


「愛された事がない人は、人を愛せないんじゃないか。愛された事がある人だけが、人を愛せるんじゃないか」
母がよく言うこの言葉の意味を、最近考えていて・・・
わたしは、母に優しくしてもらってる、甘えさせてもらってる、可愛がられている、だけど、なんでこんなに、いつも他人の顔色を覗って、「自分の本当の気持ちを言ったら嫌われるんじゃないか?見捨てられるんじゃないか?」とオロオロしているんだろう?
どんなに人から「好きだよ」と言われても、納得、安心が出来ない。
なぜ、他者(の愛情?投げかけてくれた気持ち)を、手放しで受け入れられないのか?
自分が他人に受け入れられている自信もない。
なぜなのだろう?


それで、ここ最近、「母がしんどい」で有名な田房永子さんのブログやコラムを読んでいて、数年前読んだ斎藤環さんの「母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか」などの内容を思い返して、気づいた。

母がしんどい

母がしんどい

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

母は娘の人生を支配する なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)


ああ!
お母さんは、わたしを、個としての「Marble」を愛しているんじゃないんだ!
過去、自分が成し得なかった事を、今果たしてくれる、「自己の投影」として、愛しているんだ!
お母さんは、わたしを、自分の身代わりにしているんだ!


と、思い、それで、何もかもに、合点が行ってしまい、先日、思わず号泣してしまい・・・
外出先の夫へ、メンヘラよろしく「夫くんだけは、いつまでも、わたしのことを見捨てないでいてくれるって、信じてもいい?」というLINEを送ってしまったりしていた。
(夫は「いいんだよ」と優しいお返事をくれた)


わたしが、ときどき、「わたし、が、いない」と感じるのは、きっとそういうことなんだろう。
夫と付き合いたての頃も「わたしがいない!わたしがいないんだよ!」とよく大泣きしていた。
夫もまた、実母との確執があり、機能不全家族に寄る精神病、人格障害などの事を、わたしと出会う前から調べていたような人だ。
だから、わたしは、夫と付き合って、初めて自分が
「異常」
と知り、
そして、わたしの母、家族関係は「異常」なのだと、知ったのだ。


そういうわけで、今、母と接触したいようなムズムズ感、依存心?みたいなものを、どうにか抑えつけて、少し距離を置いている日々です。
近所に住んでいるから、顔を合わせたり、電話などで簡単な連絡などはしているのだけど、自分からは接触しないようにしている。
でも、お母さんに話したいこと、たくさん、あるなあ。
それは、でも、おかしいんだ、わたしもまた、「自分がいない」間を埋めるために、お母さんの身代わりになりたがってるんだ。


悲しい。